明日の朝、目が見えなくなるとしたら最後に何を見たい?


その本はドキッとするような問いかけから始まります。

毎年誕生日が近づくと
今の私に合うであろう本を送ってくれる友人がいて
(知ってる人も多いかも、えくみさん!)
7月のその日を大分先取りして送られてきたのが
この本でした。

本のタイトルは「見えない世界で見えてきたもの」
著者は石井健介さん。
39歳、一晩にして視力を失うという衝撃的な体験から
ブラインドコミュニケーターとして
見えない世界と見える世界を軽やかに繋ぐ活動を
されています。

冒頭の問いから続きます。

海面からの光が揺らめくなか、頭上を悠々と泳いでいく体長8メートルのマンタレイ。
アラスカの大地を力強く移動する、
まるでひとつの生命体のようなカリブーの群れ。
もしくは、ハワイ島のマウナケアの頂上から眺める、
緑色の光を放つサンライズ。     
僕は圧倒的な地球の美しさを最後に見たいなと
想像してしまう。



今僕は思う。最後にはっきりとこの目で見たものが、最愛の娘の寝顔でよかったと。



このフレーズを読んだ瞬間に
私の中で何かが崩壊して
何だかたまらない衝動を覚え
隣でスーピースーピー寝ている娘の顔を見ながら
その丸くて柔らかい輪郭をいつまでも眺めていたいと
胸の深いところから訴えるような欲求を感じました。

永遠に続くかと思えたその光景は
実はとてつもなくもろくて
今この瞬間にも失う可能性を秘めている。

その日は久々に夜更かしをすることを決めて
一気に読み切るわけなのですが
朝起きてからも
世界がまるで変わってしまっていて
この世界に多層に存在する
別次元に移動してしまったような
不思議な体験がありました。



もしも同じことが身に起こるとしたら
あなたは何を最後に見たいですか?



元来、太く短く
今世に未練なく生きたいと思っていたけれど
それを想像すると、まだまだ未練があって
ユノの赤ちゃんの頃から変わらない笑顔を
もっともっと見続けたいし
ハユンのいたずらする時のはにかみも何度でも見たい。

2人の寝顔は毎晩でも毎朝でも飽きずに見たくて。
視覚で捉えられる世界に
未練たらたらな自分に気づきます。

いつもは情報的に取り込んでいる風景が
一気に違って見える。
目の前に在るものの尊さが
嫌というほどにわかってしまう。

著者の石井さんは見えなくなることで
そのことに気づいて
もっと言えば
見えなくなることで
見えるようになったものがきっとあって
視覚優位な我々は
深く反省し改めなければいけないほどに
視覚以外で捉えられる様々な気配を
ないがしろにして生きているのでしょう。


2年程前に訪れた「ダイアローグインザダーク」。
漆黒の暗闇の中を
目の見えない方のガイドに従いながら
テーマに合わせたアクティビティに参加できる
プログラムです。
(なんと石井さんもガイドを務められていたそう!)

暗闇の体験はびっくりするくらいに温かい世界でした。
初めましての方々とグループを組むのだけれど
明るい場所でのコミュニケーションとは
全く異なる信頼の築き方がそこにあり
普段見た目に惑わされて
辿り着けないその方の本質部分があらわになる。

聴覚や触覚、空間感覚、第6感のようなものも含めて
普段は使わずとも生きられる超感覚が目覚めるよう。

もちろん安易には口にできないけれど
もしかしたら見えない世界の方が
精神的にはくつろげることがあるのかもしれないとすら思いました。

ただそこは安心安全が確保された
区切られた空間だからこそ言えることで
一歩外に出たら身の安全を守るために
近距離であっても全集中で
目的地までたどり着くというミッションに
日々挑まれていることと思います。

ふと、社団法人みんなのグリーフケアの森田藍子さんに見せてもらった象の群れの写真を思い出しました。

いちばん弱い存在である子象や年老いた象を
真ん中に囲みながら
そのゆっくりのスピードに合わせて
群れ全体が動いている。

自然界のスピードとは反するように
今の人間社会は異常な速さと
効率を正義として信じ込んでしまっている。

社会的に弱者に見える彼らも
超感覚でいうと我々の比較にならない程に
超人的な力を持っていて
ぜひともその世界について知りたい
語らいたいそんな気持ちも高まります。

今月は見えない世界にそっと触れてみます。
私たちが日々触れながらも
可視化したり、数値化することの難しい
曖昧でそれでも確かに知っている
場の空気感や、その物や空間の持つエネルギー、
オーラみたいなもの、呼吸がシンクロした時の一体感。

日々そばにある、人の優しさや、可愛らしさ、
間の含む意味合い、眼差しの先に示唆するもの。

もしかしたらTEONAの空気も見えないけれど
ここでは開示できる、口が勝手に動いて語り始める
そんな見えない力を感じていらっしゃる方も
多いかもしれません。(そうだと良いなあ)

見えない世界と見える世界を行き来する中で
より一層に目の前の対象が愛おしく思えたり
その物の本質に触れられる体験があったり
今のこの瞬間の当たり前じゃなさに
気づけることがあるかもしれません。

テレパシーや祈りの実験もぜひこの機会に。

月の終わりのお話し会にて、
みんなの触れた見えない世界についての体験が
聴けることを今からとっても楽しみにしています🥰


◎ダイアローグインザダークについて
podcastでもお話ししています!


◎森田藍子さんとの癒しをテーマに語らった回


📘見えない世界で見えてきたもの     石井健介    著

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